宇宙エレベーターについて・3 技術的課題
前回に引き続き宇宙エレベーターについて解説していきたいと思います
それでは宇宙エレベーターを建設するためには、どのような技術的課題をクリアする必要があるのか解説していきます
1960年にロシア人の工学者 ユーリ・アルツターノフは世界で初めて宇宙エレベーターの構想を確立させるのですが、
その後30数年かは ケーブルに使う10万キロメートルもの自重に耐えられる材料なんてものはなかったから 宇宙エレベーターなんてSF世界での夢物語でしかありませんでした
「つまり”材料”が実現の一番の壁になってたってこと?」
そういうことです
ですが、そんな夢物語が、一気に現実味を帯びた出来事がありました
それは カーボンナノチューブの発見です
カーボンナノチューブは日本人の飯島澄男氏が発見したオーパーツみたいな炭素素材です
このハニカム構造の炭素原子がナノメートルレベルで管(チューブ)になっていることから
カーボンナノチューブと言われています
特徴はとにかく軽くて とにかく強くて 柔軟性があることです
これを上手く噛み合わせると
なんと100GPa(ギガパスカル)程の伸張性を発揮します
「ひゃくぎがぱすかる?」
イメージとしては糸ぐらいの細さでも車を丸ごと持ち上げる事が出来るぐらい強いです
「ええええ! すごすぎない?」
「そのぐらい強いならもしかしたら・・!」
そうですね このカーボンナノチューブをケーブルの材料として使えば10万キロメートルの長さでも自重で切れることは無いです
理論上は・・
「えええ じゃあもう宇宙エレベーター
作れるじゃん 早く建設しようよ!」
ええ、作れますよ。 理論上は・・・
「理論上ってなに!」
現在、世界のっどこを見てもカーボンナノチューブは長くても数cmのものしか存在していません
「えええ、どういうこと?」
それだけ長いものを作るのは とてつもなく難しいってことです
カーボンナノチューブは原始の置き場所を1つ間違えただけで性能が大幅に低下してしまうような非常に精密な材料なのです
例えば、この画像のうちの6角形を2つだけ7角形と5角形にしただだけで引張強度が理想の100Gpaから40Gpa(ギガパスカル)に下がってしまうほどです
ちなみに宇宙エレベーターの建設に必要な強度は50Gpaと言われています
「え?つまり原始の配置を1つも狂わずに この構想チューブを10万キロメートルの長さまで作らないといけないってこと?」
ええ、1つでも狂えば雪だるま式にそこからどんどん壊れていきます
そしてそんな高品質なカーボンナノチューブを量産できるような技術は 今のところ
・・無い
というわけで今すぐ実現させるのは不可能です
技術が発展することを祈りましょう
その他に個人的に面白いと思った代替案を紹介します
それは、月から地球の静止衛星までワイヤーをたらすという方法です
「逆転の発想だね・・なんかそっちの方が現実味がなさそうだけど?」
そんなことはありません。月の重力は地球の6分の1です
それに月は地球にたいして常に同じ面を向けているし
公転周期は1ヶ月だから遠心力も小さいです
これぐらいの負荷であれば、現在入手できる協力な材料を使えば既存の技術で
実現可能ってわけですね
宇宙エレベーターの利用目的は主として、科学研究と産業ですが
技術が安定しコストダウンがさらに進めば 宇宙観光などの娯楽にも利用されると予想されます
そうなれば誰でも無重力を体験し、大気によって瞬かない星空を眺め
そして眼科に丸い地球を見ることができるでしょう
宇宙エレベーターの実現には、資金や技術的課題などまだまだ問題点はありますが
近い将来、連休に数万円で宇宙旅行!なんてことになるかもしれませんね
最後までご覧いただき ありがとうございました